いびきの原因は口呼吸?実は怖い睡眠時の口呼吸を治す方法
通常、私たちは特別な意識をせずに「鼻呼吸」を行っています。しかし、起きている時は鼻呼吸でも、横になると「口呼吸」をする人は意外と多く、口呼吸が原因で起こる健康被害には深刻なものが少なくありません。
今回は、口呼吸といびきの関係と原因、治す方法についてまとめます。
口呼吸の悪影響
私たちの鼻には、呼吸に適した様々な機能が備わっています。例えば、鼻や副鼻腔内の毛によってアレルギー物質を除去するフィルターの役割や、鼻の粘膜によって吸気を加湿して菌やウイルスの侵入を防ぐ働きなどがあげられます。また、口呼吸に比べて口内の乾燥を抑えることができるため、虫歯や口臭の予防にもつながります。
反対に、口呼吸によるデメリットには、下記のようなものがあります。無意識のうちにだらんと口を開け、口呼吸を行ってしまう人は要注意です。
- いつも口が開いた状態になりドライマウスになりやすい
- 睡眠時に大きないびきをかきやすい
- 歯周病や虫歯のリスクが上がる
- 睡眠時無呼吸症候群になりやすい
- 鼻づまりを起こしやすい
- 風邪やインフルエンザにかかりやすくなる
- 喉を傷めやすい
- 口臭が強くなる
なぜ睡眠時の口呼吸は怖いのか
口呼吸は、日中起きている時でも上記のような弊害が起こりやすくなりますが、本当に怖いのは睡眠時だといわれています。睡眠時は長時間にわたって口内が渇いた状態が続くため、ドライマウスや口腔内疾患、風邪やインフルエンザなどの感染症、口臭などが起こりやすくなります。
また、口呼吸の人は「睡眠時無呼吸症候群」のリスクも高まり、寝ている時のいびきの大きさにも影響があります。
睡眠時無呼吸症候群とはその名の通り睡眠時に無呼吸状態が長時間続く呼吸器の病気で、地響きのような大きないびきをかくという特徴があります。身体に様々な悪影響を及ぼすため、心当たりがある場合には十分な注意が必要です。
特に、この病気で怖いのは睡眠中に窒息状態になっていることに対して「自覚がない」ということです。したがって、本人は十分な睡眠時間を確保しているつもりでも、体は窒息状態に陥っていて、脳はその状態から脱するために異常興奮状態を起こし、休まることがありません。そのため、日中に強い疲労感を感じるようになったり、抵抗できないほどの眠気に襲われることがあります。
特に、車や公共交通機関の運転をする人等はこの病気の怖さをしっかりと認識して、早期発見・早期治療を心がける必要があります。睡眠時無呼吸症候群を確実に治す方法というのは、残念ながら今のところ存在していません。ただし、適切な治療を受ければ症状を軽減させる対症療法が可能です。
下記のような事項に心当たりのある人は、一度耳鼻科か呼吸器科を受診して睡眠時無呼吸症候群の検査を受けてみることをお勧めします。
- 睡眠時の無呼吸・大きないびきを指摘されることがある
- 日中に強い眠気に襲われることが多い
- 生活習慣病を指摘されている
- 口呼吸の癖がある
- 太っている
- 蓄膿症や花粉症などのアレルギー性疾患を持っている
口呼吸になる原因
口呼吸になる原因には様々なものがありますが、いびきとの関連性が高いのは「鼻の病気」です。慢性副鼻腔炎(蓄膿症)や花粉症などによるアレルギー性鼻炎を起こすと鼻腔内に炎症が起こり、それが原因で鼻腔粘膜が厚くなって狭窄し、鼻からの呼気が減少するため口呼吸となります。
その他の口呼吸の原因としては、以下のようことが考えられます。
- 口周辺の筋肉の衰え
- 歯並び・噛み合わせが悪いため、常に口が開いた状態になっている
- 小さい頃からの癖
口呼吸を治す方法
口呼吸の原因となっている病状を治す方法には、以下のようなものがあります。
アレルギー性疾患(蓄膿症や花粉症)の場合
抗アレルギー剤の投与と、花粉症の場合は減感作療法(弱毒化したアレルゲンを少量ずつ体内摂取させてアレルギー症状を治す方法)などで治療します。
口周りの筋肉強化
発声練習や表情筋のトレーニング、歯ごたえのあるものを食べる、ガムを噛むなどが有効です。
歯並びの矯正
健康保険の適用外ですが、歯列矯正や一般的な矯正治療を受けることができます。ただし外科手術が必要な場合や、障害者で更生医療の適用を受けている人の場合は、健康保険や公費負担で治療することができます。
癖がついてしまっている場合
日頃から意識して鼻呼吸を心がけるのが一番の治療方法です。対策グッズとして強制的に口をふさぐテープなども市販されていますので、活用すると良いでしょう。
まとめ
今回は、いびきや睡眠時無呼吸症候群の原因と、口呼吸を治す方法についてご紹介しました。
鼻呼吸には様々なメリットがありますので、普段から口呼吸の人は、日頃から意識して改善に取り組むことが大切です。また、睡眠時無呼吸症候群の症状がみられる人は、早期に医師に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。